物語の根幹となる「問題」というのは、"ミール"の熱源が失われて、人類が"ミール"内で生存する術を失っていくということ。
どうやって解決まで持っていくのだろうと思いきや、それはなんと、自然解決してしまいます。
オーリャが助手として過ごす日常を眺めながら、色んな人が色んな方法で「やばいやばい」と言い散らすのを聞いているだだけという、物語とも言えない物語になっています。
普通の物語で言えば、まだまだ登場人物と舞台設定が出そろった序盤、つまり、登場人物各々の立場や性格が説明され、"ミール"変質後の世界という舞台が整った時点、「さぁ、ここからどうなる・どうする」という時点で、なぜか「奇跡の自然解決」が起きて「問題」が消滅し、物語が終わってしまいます。
さすがにちょっと唖然としましたね。
私が読んだのは富士見L文庫の新装版で、ページ数は203。
非常に短く、薄く、内容の存在しない小説です。
やけに早く読み終わってしまいましたが、「何を読んだのか」を振り返ってみれば実に納得。
「何も読んでいなかった」のです。
新装版が出るくらいには人気がある作品ですが、本作を評価している人というのは何を評価しているのでしょうか。
そこに戸惑いを感じてしまうくらい、何もない作品でした。
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